KKS Kanajo 9: Difference between revisions
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かくこの度、集め選らばれて、山下水の絶えず、浜の<ruby>真砂<rt>まさご</rt></ruby>の数多く積りぬれば、今は<ruby>飛鳥河<rt>あすかがは</rt></ruby>の瀬になるうらみも聞こえず、さざれ石の<ruby>巌<rt>いはほ</rt></ruby>となるよろこびのみぞあるべき。 | かくこの度、集め選らばれて、山下水の絶えず、浜の<ruby>真砂<rt>まさご</rt></ruby>の数多く積りぬれば、今は<ruby>飛鳥河<rt>あすかがは</rt></ruby>の瀬になるうらみも聞こえず、さざれ石の<ruby>巌<rt>いはほ</rt></ruby>となるよろこびのみぞあるべき。 | ||
それ、枕言葉は、春の花匂ひ少なくして、むなしき名のみ秋の夜の長きをかこてれば、かつは人の耳に恐り、かつは歌の心に恥思へど、たなびく雲の<ruby>立居<rt>たちゐ</rt></ruby>、鳴く鹿の起き臥しは、貫之らがこの世に同じく<ruby>生<rt>む</rt></ruby>まれて、この事の時にあへるをなんよろこびぬる。<ruby>人麿<rt>ひとまろ</rt></ruby>亡くなりにたれど、歌の事とどまれるかな。たとひ時移り、事去り、楽しみ・悲び行き交うとも、この歌の文字あるをや。<ruby>青柳<rt>あをやぎ</rt></ruby>の糸絶えず、松の葉の散り<ruby>失<rt>う</rt></ruby>せずして、まさきの<ruby>葛<rt>かづら</rt></ruby>永く伝はり、鳥の跡久くとどまれらば、歌の<ruby>様<rt>さま</rt></ruby>をも知り、事の心を得たらん人は<ruby>大空<rt>おほぞら</rt></ruby>の月を見るがごとくに、<ruby>古<rt>いにしへ</rt></ruby>を<ruby>仰<rt>あふ</rt></ruby>ぎて、今を恋ひざらめかも。 | それ、枕言葉は、春の花匂ひ少なくして、むなしき名のみ秋の夜の長きをかこてれば、かつは人の耳に恐り、かつは歌の心に恥思へど、たなびく雲の<ruby>立居<rt>たちゐ</rt></ruby>、鳴く鹿の起き臥しは、貫之らがこの世に同じく<ruby>生<rt>む</rt></ruby>まれて、この事の時にあへるをなんよろこびぬる。<ruby>人麿<rt>ひとまろ</rt></ruby>亡くなりにたれど、歌の事とどまれるかな。たとひ時移り、事去り、楽しみ・悲び行き交うとも、この歌の文字あるをや。<ruby>青柳<rt>あをやぎ</rt></ruby>の糸絶えず、松の葉の散り<ruby>失<rt>う</rt></ruby>せずして、まさきの<ruby>葛<rt>かづら</rt></ruby>永く伝はり、鳥の跡久くとどまれらば、歌の<ruby>様<rt>さま</rt></ruby>をも知り、事の心を得たらん人は<ruby>大空<rt>おほぞら</rt></ruby>の月を見るがごとくに、<ruby>古<rt>いにしへ</rt></ruby>を<ruby>仰<rt>あふ</rt></ruby>ぎて、今を恋ひざらめかも。 | ||
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Revision as of 14:46, 29 May 2026
Translation
かくこの度、集め選らばれて、山下水の絶えず、浜の真砂の数多く積りぬれば、今は飛鳥河の瀬になるうらみも聞こえず、さざれ石の巌となるよろこびのみぞあるべき。
それ、枕言葉は、春の花匂ひ少なくして、むなしき名のみ秋の夜の長きをかこてれば、かつは人の耳に恐り、かつは歌の心に恥思へど、たなびく雲の立居、鳴く鹿の起き臥しは、貫之らがこの世に同じく生まれて、この事の時にあへるをなんよろこびぬる。人麿亡くなりにたれど、歌の事とどまれるかな。たとひ時移り、事去り、楽しみ・悲び行き交うとも、この歌の文字あるをや。青柳の糸絶えず、松の葉の散り失せずして、まさきの葛永く伝はり、鳥の跡久くとどまれらば、歌の様をも知り、事の心を得たらん人は大空の月を見るがごとくに、古を仰ぎて、今を恋ひざらめかも。